ボーイスカウトの「ちかい」と「おきて」とは?分かりやすく解説

ボーイスカウトをやっている子供たち。

街中で募金活動やゴミ拾いをしていたり、野外でハイキングや登山、キャンプをやっているのを見かけます。

みんな揃いの制服を着て、きちんと整列をして、しっかりと挨拶をしてくれるので、規律正しく行動している。

そんなイメージもあるかもしれませんね。

そういうことができるように、グループの中でルールが決められていて、厳しくしつけているんだ、と思われている方も多いかと思います。

もちろん大切なことは、しっかりとしつけていることには違いはありません。

けれど、しつけられて覚えることよりも、自分で考えてやってみて行動する方が、自分の身になることが多いですよね。

それができるように、ボーイスカウトには活動の軸になる「ちかい」と「おきて」というものがあります。

ちょっと硬い表現ですが、日常生活でもとても大切にしたい考え方ばかりです。

今回は、そんな「ちかい」と「おきて」について個人的意訳も含めて、わかりやすく解説してみたいと思います。

 

Contents

「ちかい」と「おきて」とは

ボーイスカウト スカウトサイン

「ちかい」とか「おきて」という言葉にどんな印象を感じますか?

個人的には硬いというか、とても厳しく重厚な感じを受けます。

そんな印象を感じさせる言葉をあえて使っているわけですが、それにはボーイスカウトの活動目的があります。

 

ボーイスカウトというと野外活動という連想をされる方も多いと思います。

ただ野外活動をしているだけ、というわけではなく、活動目的である「より良き社会を創る」「より良い社会人の育成」のために野外活動を活用しています。

詳しくはこちらにまとめた記事があるので是非ご覧ください。

ボーイスカウトにかかる費用はいくら?制服から道具まで徹底解説!

 

そんなボーイスカウトの活動目的のために必要な考え方として、この「ちかい」と「おきて」があるんですね。

 

硬い・厳しい・重厚な感じのある言葉ですが、どちらも紐解いていくと、日常生活の中で大切にしたい考え方ばかりです。

 

ではこの「ちかい」と「おきて」について、ここからよりわかりやすく解説していきますね。

ボーイスカウトであればもちろんですが、ボーイスカウトでなくても、是非日常生活の中でも活用していただければと思います。

 

ボーイスカウトの「ちかい」

まず「ちかい」です。

全文は次のような内容です。

私は名誉にかけて、次の三条の実行をちかいます

一、神(仏)と国とに誠を尽くしおきてを守ります
一、いつも他の人々をたすけます
一、からだを強くし心をすこやかに徳を養います

 

一つ目の「神(仏)と国とに誠を尽くす」は、自分の信じるものに真っ直ぐに生きる、今自分が暮らしている国がよりよくなるように生きる、という意味です。

二つ目はそのままの意味ですが、自分を犠牲にしてという意味ではなく、自分の持てる力を発揮して周りに貢献するという意味合いです。

三つ目の「徳を養う」は、「人間的な魅力を養う」という意味ですね。身も心も健康であることが、自分の魅力を発揮するためにも大切なこと、という意味合いです。

 

ボーイスカウトは宗教ではない

「ちかい」の一つ目の言葉があることで、「ボーイスカウトは宗教ではないか?」思われている方が少なからずいらっしゃるようです。

またボーイスカウトの活動では、なんらかの信仰を持つこと自体は推奨していますが、ボーイスカウト自体は宗教団体ではありません。

信仰の対象は様々あります。世界的にみていけば、神さま仏さまはもちろん、国家というケースもあります。

このことを踏まえて「ちかい」の一つ目では「神(仏)と国とに〜」という言葉を使っています。

しかし最近は無宗教、無信仰という方も多くいらっしゃると思いますので、この部分で引っかかる方もいらっしゃるのでしょう。

そこで考えてみたいのは「信仰」という言葉。

信仰とは「何か大切だと思うことを信じること」を表す言葉です。

日本では「八百万の神々」という言葉があり、身の回りの様々なものに神様が宿っている、という考え方です。

そこには、自分が生きていけるのも、周りの全てのものがあるからこそ生かされている、という考え方が根底にはあります。

そんな自分の周りにあるものを大切にすること、これも立派な信仰と言えるのではないでしょうか。

生きていることに感謝ができること。これができているのであれば、立派な信仰心があるともいえます。

何らかの宗教に入っていなければ信仰ができていない、というわけではありません。

 

ボーイスカウト「おきて」

続いて「おきて」です。

全文は次の通りになります。

  1. スカウトは誠実である
  2. スカウトは友情にあつい
  3. スカウトは礼儀正しい
  4. スカウトは親切である
  5. スカウトは快活である
  6. スカウトは質素である
  7. スカウトは勇敢である
  8. スカウトは感謝の心をもつ

 

一つ目の「誠実」は「真心を持って人と接する」という意味。

「真面目」という意味もありますが、気持ちを込めて行動ができることが大切ですね。

 

二つ目の「友情にあつい」は、「友達・仲間を大切にする」という意味。

 

三つ目の「礼儀正しい」と四つ目の「親切」は、そのままの意味ですね。

 

五つ目の「快活である」は、「きびきびと活動する元気さ」という意味。

 

六つ目の「質素である」は、「贅沢をしない」「簡素であること」の他に、「無駄をはぶいて、役立つものは全て活かす」という意味合いがあります。

 

七つ目の「勇敢である」は、「困難なことが立ち塞がったとしても、それを越えて進んでいく」という意味。

自分たちの目標に向かっている間はどんな困難な状況であっても、やれると信じて進んでいくことの大切さをあらわしています。

その逆に、状況によっては無理せず撤退することを判断することも、勇敢であるともいえますね。

 

八つ目の「感謝の心をもつ」は「ちかい」にある「信仰」にもつながるものですね。

この世界に生かされていることに感謝の心をもつことは、どんな時にも大切にしたいことだと思います。




こども向けの「ちかい」と「おきて」

ボーイスカウト スカウト整列

「ちかい」と「おきて」は、ボーイスカウト活動を行っていく上で、全てのスカウトの活動の軸となっています。

けれど、まだ幼いこどもたち、ビーバースカウトやカブスカウトにはちょっと難しい表現もあります。

そこで、こども向けの「ちかい」と「おきて」がビーバースカウトとカブスカウト向けに別に設けられています。

 

ビーバースカウトの「やくそく」と「きまり」

ビーバースカウトでは「ちかい」は「やくそく」、「おきて」は「きまり」としてまとめられています。

以下、その全文です。

ビーバースカウトのやくそく

  1. ぼくは(わたしは)みんなとなかよくします
  2. ぼくは(わたしは)ビーバー隊のきまりをまもります

ビーバースカウトのきまり

  1. ビーバースカウトはげんきにあそびます
  2. ビーバースカウトはものをたいせつにします
  3. ビーバースカウトはよいことをします

 

まだまだ幼いビーバースカウトのこどもたちには、「きまり」も三つだけ。

たくさんのことを実践しようとするよりも、まず大切な三つのことをしっかりと実践できるように考えられています。

元気に仲間と仲良く遊ぶことを通して、「ものを大切にすること」「よいことをすること」を実践していきます。

 

カブスカウトの「やくそく」と「さだめ」

カブスカウトでは「ちかい」は「やくそく」、「おきて」は「さだめ」としてまとめられています。

以下、その全文です。

カブスカウトのやくそく

  1. ぼくは(わたしは)まじめにしっかりやります
  2. ぼくは(わたしは)カブ隊のさだめをまもります

カブスカウトのさだめ

  1. カブスカウトはすなおであります
  2. カブスカウトはじぶんのことをじぶんでします
  3. カブスカウトはたがいにたすけあいます
  4. カブスカウトはおさないものをいたわります
  5. カブスカウトはすすんでよいことをします

 

カブスカウトの「さだめ」は五つ。実践することも増えてきます。

ビーバースカウトは周りと仲良くすることに重点を置いていますが、カブスカウトは「自分でできることを増やしていく」というのが重点に置かれています。

 

ボーイスカウト「ちかい」と「おきて」英語版

さて、ここまで日本のボーイスカウトの「ちかい」と「おきて」を見てきました。

実は「ちかい」と「おきて」は世界のボーイスカウト共通のものとして英語版があります。

「おきて」の数と表現が日本語版と少々異なるところがあります。

日本では、日本人に馴染みやすいような表現に変えてあるのですが、基本的な内容は同じものです。

それでは、「ちかい」と「おきて」英語版をご紹介します。

 

「ちかい」英語版

The Scout Promise

  • On my honour I promise that I will do my best
  • To do my duty to God and the King (or to God and my Country);
  • To help other people at all times;
  • To obey the Scout Law.

 

翻訳すると次のような意味になります。

スカウトのちかい

  • 私の名誉にかけて、私はベストを尽くすことをちかいます
  • 神と王(または神と私の国)に対して私の義務(任務)を果たします
  • 常に他の人を助けます
  • スカウトのおきてを守ります

ほぼ日本語版と同じ内容です。

 

「おきて」英語版

The Scout Law

  1. A Scout’s honour is to be trusted.
  2. A Scout is loyal.
  3. A Scout’s duty is to be useful and to help others.
  4. A Scout is a friend to all and a brother to every other Scout.
  5. A Scout is courteous.
  6. A Scout is a friend to animals.
  7. A Scout obeys orders of his parents, Patrol Leader or Scoutmaster without question.
  8. A Scout smiles and whistles under all difficulties.
  9. A Scout is thrifty.
  10. A Scout is clean in thought, word and deed.

 

翻訳すると次のような意味になります。

スカウトのおきて

  1. スカウトの名誉とは信頼されることです
  2. スカウトは素直です
  3. スカウトの義務とは役立つことであり、他人を助けることです
  4. スカウトはすべてのスカウトの友人であり、兄弟です
  5. スカウトは思いやりがあります
  6. スカウトは動物の友達です
  7. スカウトは両親、パトロールリーダー、またはスカウトマスターの指示に従います
  8. スカウトはどんな困難の中でも笑顔と口笛を絶やしません
  9. スカウトは倹約します
  10. スカウトは思考、言葉、行動において清らかです

 

日本語版は八つなので二つ多くなっています。

英語版の1番と2番は、日本語版の一つ目「誠実である」にまとめられています。

英語版の6番、7番、10番は日本語版にはありません。

その代わり日本語版には八つ目「感謝の心を持つ」という言葉があります。

海外でも「感謝すること」の大切さはありますが、これが入っていることが日本らしいな、という感じもしますね。




まとめ

ボーイスカウトの「ちかい」と「おきて」

僕が隊員として活動していたときは、これをそらで言えるように一生懸命覚えようとしていたことを思い出しました。

大人になってからも、ボーイスカウト活動で培った「ちかい」と「おきて」の考え方は、日々の生活の中で生かされていると思います。

少年時代に、好奇心豊かに、冒険心を発揮しながら、「ちかい」と「おきて」を実践することが、心身ともに健康で、豊かな人生を歩むことができる、一つのきっかけになると思います。

それでは、まとめです。

  • ボーイスカウトの「ちかい」と「おきて」はボーイスカウトの活動目的「より良き社会を創る」「より良い社会人の育成」のためにある
  • 「ちかい」と「おきて」はスカウト活動だけでなく日常生活でも大切にしたいことがまとめられている
  • ビーバースカウトとカブスカウト向けのより簡単にまとめた「ちかい」と「おきて」がある
  • 日本語の「ちかい」と「おきて」は世界共通の英語版を日本人むけに少し変えている

 

お子さんをボーイスカウトに入れてみたい親御さん、ぜひこの記事を参考に、入隊を検討してみてくだされば嬉しいです。

 

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